東京で注目の新技術:面発光レーザの開発
このたび、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(ソニー)の共同によって、光ファイバ通信に利用可能な初の実用的な面発光レーザが開発されました。この技術革新は、通信分野における新たな歴史が始まる瞬間と言えるでしょう。
光ファイバ通信の未来
今日の社会では、通信技術の進化が急速に求められています。特に、光通信はその高速度と大容量の特性から幅広い分野での利用が期待されています。しかし、近年急増するデータ通信の需要に応えるためには、より効率的かつコストを抑えた技術が必要とされています。
今回開発された面発光レーザは、波長1550nm帯で動作し、これまでにない低消費電力と小型化を実現可能にします。これによって、光ファイバ通信システムで使用される光源の高性能化が期待され、その普及と発展を後押しします。
開発の背景と技術
これまで、光ファイバ通信において面発光レーザ(VCSEL)が求められていましたが、1,550nmの長波長で動作するVCSELを開発する際にはいくつかの技術的な障壁がありました。具体的には、材料の選択肢や構造設計の複雑さ、求められる高出力や高効率の実現などが課題でした。しかし、NICTとソニーが持つ技術の融合により、これらの課題克服に成功したのです。
NICTが開発した高精度な化合物半導体結晶成長技術と、ソニーのトンネル接合技術が組み合わさることで、量子ドットを発光材料として用いたVCSELのレーザ発振が、僅か13mAという低電流で実現しました。これにより、発光の安定性も確保されたのです。
量子ドットの可能性
特に注目すべきは、量子ドットと呼ばれるナノスケールの半導体粒子を使用している点です。量子ドットは、特異な光学特性を持ち、ここから高温安定性と優れたパフォーマンスを引き出すことができるため、今後の通信技術にとって重要な要素となるでしょう。これにより、光ファイバ通信システムの大容量化、低消費電力化が期待されています。
結論と今後の展望
NICTとソニーが達成したこの技術は、光通信の新たな時代を切り開くものです。今後は、Beyond 5Gの時代に向けて更なる技術改良が進むことが見込まれます。これにより、社会の通信インフラはさらなる進化を遂げ、多様なサービスの基盤を形成していくことでしょう。光ファイバ通信の未来に向けた挑戦は、ここに始まったのです。
本実験結果に基づいた論文は、国際的に権威あるOptics Express誌に採択され、公式に発表される予定です。通信技術の進展にぜひご注目ください。