防災訓練の重要性と現状
令和7年度のJA共済連が行った意識調査では、日本国内の約6,500万人が防災訓練を3年以上行っていないという衝撃的な実態が明らかになりました。この調査は、全国の20歳から60歳の男女5,000人を対象に実施され、「防災の日」である9月1日に先駆けて結果が発表されました。
調査結果のハイライト
人々の防災に対する意識は年々高まっていることが伝わってきますが、それに対する行動が伴っていないことが悩ましい問題です。具体的には、約90%の参加者が「日本は災害が多い国だ」と認識し、最も不安を感じる自然災害として「地震」が83.6%でトップとなっています。また、実に85%が「年々、災害に対する不安が高まっている」と回答していますが、一方で防災訓練の重要性を認識しながらも約70%が3年以上防災訓練を実施していない現状が浮かび上がりました。
防災訓練休眠人口の実態
この調査から、日本には約6,500万人もの「防災訓練休眠人口」が存在するという現実が判明しました。訓練未実施の理由として多くの人が「訓練の開催に関する情報がない」と「訓練の開催場所が分からない」という受動的な理由を挙げており、防災訓練の機会に恵まれていないことが一因となっています。
離れた家族への不安
さらに調査では、約70%の参加者が離れて暮らす家族を持ち、そのうち85%が彼らの災害時の安全に不安を抱いているという結果が明らかになりました。しかし、61.7%が「防災について話し合っていない」、67.4%が「防災用品の確認をしていない」といった実態が見受けられます。これは、家族間のコミュニケーション不足が影響していることを示唆しています。
専門家の見解
調査の監修を行った松島康生氏は、国内の災害リスクへの理解を深めつつ、防災訓練の必要性を再認識することが急務であると強調しました。現代のライフスタイルを踏まえた柔軟な防災訓練の方法として、リモートでの訓練やアプリを活用することで、時間や場所に縛られない参加の機会を提供することが求められています。また、離れて暮らす家族に対する防災訓練を「贈る」仕組みや、災害対策の話し合いを行うきっかけを作ることが、今後の課題として挙げられるでしょう。
防災意識をさらに高めるために
このように、日本の防災意識は高まっているものの、実践に移せていない現状が浮かび上がります。個人や家族の生活に合った防災訓練を行うことで、より多くの人々の防災意識が向上し、災害時の安全を確保するための土台を築くことが必要です。これからの時代に合わせた取り組みが求められているのです。
防災は一人一人の意識と行動にかかっています。未来の安心を築くために、できることから一歩踏み出してみましょう。