大阪・関西万博の国産材再利用プロジェクトが始動
今年の10月13日、大阪・関西万博が閉幕しましたが、その心に残るのは、イベントに使用された国産材の再活用です。大東建託株式会社は、万博期間中に使用した資材を新たな形で生まれ変わらせることを決定しました。国産材の利用は、環境への配慮だけでなく、地域の経済をも支える重要な取り組みです。
国産材の特性と利用計画
大東建託が密に関与した屋外イベントステージには、3棟の「CLTキャビン」や観客席を兼ねた「ウッドデッキ」が設置されました。これらすべてが国内で生産された材で構成されており、環境への影響を大幅に軽減することを目指しています。
CLT(Cross Laminated Timber)キャビンは、再生可能なユニット構造を持ち、容易に移動可能です。今後、これらは建設現場の事務所や商品PRスペースなど多岐にわたる用途に活用される予定です。一方、ウッドデッキに使用された木材は、リサイクル・パーティクルボードとして加工され、全国の住宅の下地材として再利用されます。
SDGsと持続可能な社会への貢献
大阪・関西万博のテーマは「持続可能な開発目標(SDGs)」達成への貢献と「Society5.0」の実現です。この取り組みは、単に環境保護に留まらず、地域経済を活性化させる可能性を秘めています。大東建託は、その一環として、万博で使用された約72㎥の国産材、つまり構造材9,100本分相当の木材を再利用します。この試みは二酸化炭素量固定量として44トン分にも相当し、地球温暖化対策にも寄与します。
今後の展望
また、大東建託は日本館で使用されたCLTパネルにおいても再利用を進めています。これらは、企業や自治体が利用する形で再びその役割を果たすことになるでしょう。2024年には、東京・江東区にある「ROOFLAG賃貸住宅未来展示場」でも、展示用モニュメントやノベルティ制作に利用される計画です。
さらに大東建託は、2019年より、茨城県を拠点に国産材を活用した新しい工法と商品開発に取り組んでいます。目標として、建材の9%を国産材で構成することを掲げ、2028年までにCLT使用量を2024年度比で8倍にするプランを策定しています。また、2025年2月には住友林業と提携し、国産材の安定供給体制を構築するという強力な施策も進行中です。
日本の林業振興と地域創生への寄与
今後も大東建託は、国産材の有効利用を通じて日本の林業振興と地域の発展に貢献していく方針です。持続可能な社会の構築に向けた努力は、地域への大きな恩恵として還元されるでしょう。このような取り組みが注目される中、国産材の魅力や価値を見直す機会となることを期待しています。日本全体での国産材の利用が広がることで、私たちの生活がより豊かになっていくことを期待しています。