旭化成グループ本社に導入されたデータ活用システムの全貌
株式会社内田洋行が設計した「SmartOfficeNavigator」が、旭化成株式会社の本社に導入されました。このシステムは、約3,000人が働く旭化成グループの各社の従業員が円滑にコミュニケーションを取れるよう支援することを目的としています。
新しい働き方への対応
新型コロナウイルスの影響で、旭化成グループは在宅勤務が増加しました。それに伴い、オフィスでのコミュニケーションの機会が減少することが課題として浮上したのです。こうした背景から、内田洋行のシステムを利用し、従業員同士がスムーズにコミュニケーションを促進できる環境を整えることが急務となりました。
「SmartOfficeNavigator」は、リアルタイムで従業員の居場所を可視化し、出社時に自然な交流が生まれるきっかけを提供します。これにより、オフィスの出勤状況や会議室の利用状況を一元的に把握できるようになるため、業務の効率化が図られるのです。
システムの具体的機能
このシステムは、出社している従業員の一覧を表示する機能を持ち、Microsoft 365とも連携して顔写真や名前、所属情報をリアルタイムで表示します。これにより「誰がどこにいるか」をすぐに把握でき、顔と名前が一致することで自然な会話も生まれやすくなります。
また、会議室の使用状況を把握するために「SmartRooms」機能や、オープンスペースの混雑を管理する「RoomSense」も同時に導入されています。これにより、グループで共有する約200室の会議室やスペースの運用が最適化され、混雑を回避しつつ、来客対応の改善も期待されています。
データ活用による業務改善
さらに、旭化成グループの総務部門は、人と空間の利用データを基にオフィスの状況を可視化し、改善に向けた取り組みを進めています。具体的には、滞在データを分析し、設備のレイアウトや使用法の見直しを行います。
実際に、多くの従業員が利用していなかったカフェテリアの利用率をデータで洗い出し、モニターを増設した結果、利用が向上しました。こうした取り組みは今後も継続していき、データに基づく様々な改善案が模索される予定です。
会議室の効率的な運用
旭化成グループの本社オフィスでは、多数の来客があり、その重要性が認識されています。そこで、会議室の予約や使用状況を一元的に管理し、リアルタイムで空き情報を把握できる仕組みを整えました。また、「コンシェルジュ機能」により、会議室の使用後に即座に清掃情報を更新し、来訪者をスムーズに迎える環境を実現しました。
事業継続計画(BCP)への対応
「SmartOfficeNavigator」は、事業継続計画(BCP)においても重要な役割を果たします。このシステムは、災害や緊急時に誰がどこにいるのかをリアルタイムで把握できるため、迅速な安否確認や初動対応が可能になります。グループ全体を支えるインフラとしての役割も期待されています。
旭化成の目指す未来
旭化成株式会社は、働き方が大きく変化する中、本社オフィスのリニューアルに伴い「SmartOfficeNavigator」を導入しました。今後は、キャリア採用や部門間異動の増加を背景に、人と人との繋がりを強化し、更なる成長を目指す考えです。内田洋行のシステムを基にした「データに基づく総務DX」に取り組むことで、働く環境向上に向けた新しい価値を提供することが期待されています。
この取り組みは、単なるシステム導入にとどまらず、働き方や業務の本質を見直すきっかけになることでしょう。旭化成グループが新たな価値を創造し続ける姿勢は、他の企業にとっても大いに参考になります。