ウシオ電機、干渉露光装置を新たに開発
ウシオ電機株式会社が新たに開発した干渉露光装置は、光電融合技術のニーズに応えるための重要なステップとなります。この装置は、干渉縞のピッチ精度0.01nmを達成し、位相シフト構造の形成を可能にします。これにより、今後の高性能デバイスの製造において大きな役割を果たすことでしょう。販売開始は2027年春を予定しています。
## 光電融合と干渉露光の必要性
光電融合は、電子回路と光回路の技術を統合することで、高速かつ低消費電力なデータ処理と通信を実現することを目指しています。しかし、発展する技術が求める性能を満たすためには、流通する電子機器用のレーザー光源が必要不可欠です。その中でも、分布帰還型レーザー(DFB-LD)を有する許容回路は、急速に需要が増しています。
しかし、現行の量産技術であるEB(電子線描画)装置の生産性が低く、供給が不十分な状況が続いています。この問題を解決するために、干渉露光技術が注目されています。とはいえ、以下の3つの課題が存在しました。
1. 安定した露光品質の確保
2. ピッチ精度が低い
3. 位相シフト構造の未形成
新しい干渉露光装置の特長
ウシオは、これらの課題を解決するために、以下の3つの特長を持つ新しい干渉露光装置を開発しました。
1. DPSSレーザーとKrFレジストによる安定性
従来の装置では、ガスレーザーとフォトレジストに線形成の強い材料が使用されていたため、露光の安定性に欠けていました。しかし、ウシオの新型装置は266nm DPSSレーザーと化学増幅型KrFレジストを採用し、安定した露光性能を維持しています。こうした技術により、今までの露光安定性の問題が解消されました。
2. ピッチ精度0.01nmの達成
新型の干渉露光装置は、露光する干渉縞のピッチを0.01nmの精度で測定できる特長を持っています。また、補償光学系を採用することで、DFBレーザーの回折格子に必要な高いピッチ精度を確保しています。
3. 位相シフト構造の形成実現
ウシオの装置は、デジタルホログラフィック素子を使用することで、従来の位相シフト層と等価な機能を持つ新しい構造を実現しています。これにより スループットや歩留まりを大きく向上させることが可能となります。
今後の展望とデモ加工
ウシオは、装置の販売開始前にデモ加工の受付を行っています。この干渉露光装置は、半導体レーザーに加え、AR技術で必要とされる光学部品の製造でも活用が期待されます。さらに、ウシオは今後もIndustrial Process領域における技術革新を「光」で実現し続ける方針です。
この技術に関する詳細は、2023年9月に岡山大学で開催される電子情報通信学会ソサエティ大会で発表予定です。
会社概要
ウシオ電機株式会社は、1964年に設立され、東京都に本社を置く企業です。紫外線、可視光線、赤外線を扱う各種光源や、光学装置を製造・販売しています。半導体やフラットパネルディスプレイ、エレクトロニクス分野での高シェア製品を有するとともに、医療や環境などのライフサイエンス分野にも事業を展開しています。詳細は
ウシオ電機の公式ウェブサイトをご覧ください。