環境と経済を結ぶ新しいビジネスモデル
地方から世界へと羽ばたく岡山の環境ベンチャー、次の灯株式会社が新たに構築したビジネスモデルは、環境と経済の両立を目指す循環経済の新しい形です。この企業は、ディーゼル排気の再資源化を通じて、8,600万kgに相当するCO₂削減を達成し、その結果として5,000社以上の整備工場や運送会社が同様のモデルを導入しています。
環境保全と利益追求の両立
次の灯が掲げる理念は、環境保全と利益追求を対立させることなく、両者を両立させることです。この企業は、廃棄部品を再利用することにより、これまでにない新たなビジネスモデルを確立しました。この「循環の経済」は、自動車業界に留まらず、他の産業にも広がりを見せています。
廃棄物リサイクルの仕組み
同社の主な事業は、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)のリビルト事業です。寿命を迎えたDPFを洗浄し、再検査を行ってから再組付けすることで、再利用可能な部品として新たに市場に流通させます。このプロセスにより、CO₂排出量を最大45%削減することが可能となり、多くの整備工場が新品より合理的な選択肢として再生部品を選ぶようになっています。
仕組み設計の重要性
次の灯が特異なのは、単なる技術の革新ではなく、「仕組みの設計」を重視している点です。全国の整備工場との協力体制を築きながら、廃棄部品を回収し、再生し、流通させる循環ネットワークを整備しています。このことで、物流や在庫、検査、品質保証の全てを一元管理し、スピード、品質、環境性のすべてを両立させることに成功しています。
地域から全国へ広がる影響
岡山の小さな整備工場から始まったこの取り組みは、今や全国に広がり、5,000社を超える企業が共感して実行に移しています。「使い捨てではなく、使い続ける」という考え方は、整備業界にとどまらず、EVバッテリーや産業廃棄物、燃料添加剤など新しい分野にも広がりを見せています。
数字が示す成果
次の灯は、実際にどのような成果を上げているのでしょうか。導入企業数は5,171社、CO₂削減量は約8,600万kg、年間再生DPF数は18,000個、累計再利用額は8.6億円に達しています。また、平均年齢29歳という若いチームが、次世代の環境課題に取り組んでいます。
海外展開と次の挑戦
次の灯の目標は、国内に留まらず、アジアにまでそのモデルを広げることです。2025年には埼玉や名古屋、九州に拠点を設ける計画が進行中で、「環境負荷を減らすほど利益が生まれる」という新たな構造を確立しようとしています。
循環をデザインする本社
次の灯の新しい本社は、単なるオフィススペースではなく、循環経済を実現するための「実験場」として設計されています。社内の壁面には、CO₂削減や再資源化のデータが掲示され、社員たちが日々その情報を共有しながら取り組んでいます。
CEOのメッセージ
代表取締役 CEOの黒川聖馬氏は、「地方にはまだまだ使えるものや輝ける人がたくさんいます。その資源を再び循環させる仕組みをつくることが私たちの使命です。5,000社が共に動き出した今、新たな挑戦が始まります」と語ります。
次の灯株式会社は、今後も環境と経済の調和を図りながら、新しいビジネスモデルの実現を目指します。