伝統が生んだ冬のファンタジー
青森の伝統文化であるねぶたの技法を取り入れたクリスマスデコレーションが、シャングリ・ラ東京で今年も展示されることになりました。このプロジェクトは、青森のねぶた師・北村麻子氏とのコラボレーションにより実現しました。昨年に引き続き、二年連続となるこの取り組みは、青森の魅力を都市の中心で感じられる貴重な機会です。
ねぶた制作のプロセス
ねぶたの制作過程は非常に多岐にわたりますが、特に今回のクリスマスデコレーションは、さまざまな素材と技術を駆使して、約2ヶ月かけて丹精込めて制作されました。プロジェクトの実権は北村麻子氏が握り、彼女のビジョンが具現化されたものとなっています。
1. 題材と下絵
まず重要なのは、ねぶたの設計図です。北村氏はクリスマスの楽しさを表現するために、長い時間をかけてアイデアを構想します。鉛筆での下書きから始まり、その後に「色」を付けていくプロセスは、彼女の創造力の核となる部分です。
2. 細部の準備
次に、細かなパーツを作成する段階では、比例式を使って寸法を計算します。この段階での準備が、制作過程をスムーズに進めるための鍵となるのです。
3. 骨組み
角材や針金を使って骨組みを作ります。昔は竹が使用されていたとも言われています。この段階で、全体の形が見えてくる瞬間は特別なものがあります。
4. 電気配線(照明)
ねぶたの内部には通常、照明器具が取り付けられますが、シャングリ・ラ東京の今回の作品には約200個の電球が装飾されています。この光の演出が、ねぶたに命を吹き込みます。
5. 和紙の貼り付け
紙はり工程では、奉書紙を一枚一枚丁寧にはり付けることで、作品に奥行と質感を与えます。根気強さと緻密さが求められるため、この作業は特に難しい工程の一つとされています。
6. 墨書き
純白のねぶたに墨で顔や手足を書き込む工程も大切です。筆の技術によって、作品に動きや感情を加えることができます。
7. ろう書き
この段階では、パラフィンを使って模様を付けていきます。この工程は色のにじみを防ぎつつ、作品に明るさを与えていきます。
8. 彩色
最後は彩色です。染料や水性顔料を使って、ねぶたを鮮やかに仕上げます。数多くの筆やスプレーを使い分けて、独特の表現が生まれます。
クリスマスの魔法を感じる
今年のクリスマスデコレーションは、心温まる雰囲気が漂い、来客を迎えるための特別なアクセントとなっています。動物たちが集う愛らしいデザインには、トナカイ、フクロウ、きつね、うさぎ、ハリネズミなどが描かれ、まさにクリスマスの世界を映し出しています。また、クリスマスツリーにはカラフルなギフトボックスが積まれ、どこかにシャングリ・ラの「S」ロゴが隠されています。どこにあるか見つけるのも楽しみの一つです。
北村麻子氏は、「動物たちと共にクリスマスを祝う情景を描いた」と語ります。彼女は、環境との共存を願い、このクリスマスねぶたを制作しました。 その思いが、多くの人に温かいメッセージとして届くことでしょう。
シャングリ・ラ東京の総支配人、マティアス・スッター氏も、「日本の伝統と西洋の華やかさが融合することで、幻想的な体験が得られる」と語っています。この素晴らしいデコレーションは、シャングリ・ラの高いホスピタリティと相まって、すべての訪問者に特別な時間を提供しています。
おわりに
冬の澄んだ空気が感じられる中で、皆様もご家族や大切な人と一緒に、シャングリ・ラ東京のクリスマスねぶたをご覧に来てはいかがでしょうか。心温まるひとときをお楽しみください。
クリスマスねぶた概要
- - 期間: 2025年11月6日(木)~12月25日(木)
- - 場所: 28階ロビー
- - 制作: ねぶた師北村麻子氏
宿泊ゲストだけでなく、どなたでもご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りください。