ダラキューロ®の新承認
2025-11-20 15:57:43

ダラキューロ®、高リスクの多発性骨髄腫治療に新たな可能性を提供

ダラキューロ®、高リスクの多発性骨髄腫治療に新たな可能性を提供



2023年10月20日、ヤンセンファーマ株式会社(Johnson & Johnson)は「ダラキューロ®(ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)」が日本において「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」で製造販売承認の一部変更を取得したと発表しました。これにより、従来の経過観察に代わる新しい治療の選択肢が提供されることとなります。

多発性骨髄腫とくすぶり型の理解


くすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の前駆段階で、無症候性の状態が続きます。この状態の患者は異常な形質細胞が骨髄内に存在する一方で、症状は出ていません。従来の治療アプローチは主に経過観察に依存しており、症候性に移行するまで治療は行われていませんでした。しかし、新たな研究により、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対して早期の介入が治療の効果を高める可能性が示されています。

AQUILA試験の成果


ダラキューロ®の承認は、国際共同第III相試験「AQUILA」(NCT03301220)に基づいています。この試験では、ダラキューロ®単独投与群と経過観察群を比較し、ダラキューロ®を投与された患者が多発性骨髄腫への進展または死亡リスクを51%有意に低下させる結果が得られました。追跡調査の結果、ダラキューロ®群での無増悪生存期間は有意に延長され、死亡率も低下することが示されました。

患者さんへの期待


日本赤十字社医療センターの鈴木憲史医師は、「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に対し、ダラキューロ®の承認は新たな治療選択肢をもたらし、患者アウトカムの改善に寄与することが期待される」と述べています。約50%の患者が2年以内に多発性骨髄腫に進展するリスクがあるので、この新薬が早期の段階で治療介入を可能にし、進展の抑制や臓器障害の軽減につながることが期待されています。

治療の継続的な必要性


ヤンセンファーマのクリス・リーガー社長は、「ダラキューロ®の承認により、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんに治療の選択肢を提供できることになりました。これは、病気の進展を遅らせたり、強力な長期治療の必要性を軽減するものです」とコメントしています。今後もこの疾患に対する治療のさらなる開発と患者さんへのサポートを続ける姿勢が示されています。

結論


ダラキューロ®の2014年の登場以来、この抗CD38抗体薬は多発性骨髄腫に対する治療の新しいスタンダードを形成しつつあります。特に、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に対する新たなアプローチとして期待されています。患者さんへの早期介入がもたらす可能性を考慮し、今後の治療戦略が重要です。


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