共同研究の背景
味の素AGF株式会社は、心の健康に貢献することを目指して、株式会社ミルウス、横浜国立大学と共同研究を行っています。2130年に向けて、個々の「ココロの健康」をサポートすることが重要テーマとして掲げられ、感情を科学的に理解し、それに基づいた製品の開発へとつなげることが求められています。
この共同研究では、感情をリアルタイムで可視化するために、生体信号を利用した新たなシステムの構築に取り組みました。2022年10月から始まったこのプロジェクトでは、飲食時における感情の変化を捉えるため、心電図や脳波をはじめとする生体信号を測定し、それらを基にした感情推定モデルの開発が目指されています。
IEEE SMC 2025での発表
2025年10月5日から8日にオーストリアで行われたIEEE SMC 2025において、研究成果の一部が発表されました。このイニシアティブは、電気・電子工学やAIをはじめとする多岐にわたる専門技術者が集まる国際的な会議であり、そこでの発表は非常に価値があります。研究内容は、特に食事中の感情推定に特化して開発されたAIモデルで、飲食の際の感情の変化をリアルタイムで検知する方法論が提案されています。
共同研究の成果と将来への展望
この研究の最大の特徴は、日々の食事という身近な場面での感情の動きを捉えられる点です。従来は動画視聴や音楽鑑賞といった刺激の強い状況において感情変化の研究が多く、食事時の感情推定は難しいとされていました。しかし、今回の研究では、ウエアラブルセンサーを利用して、簡便に得た心電図データを用いて、高精度な感情推定を実現するための基盤が整いつつあります。
今後は、研究に参加する被験者データを蓄積・解析し、多種多様な人々の「こころ」がどのように変化するのかを明らかにすることが期待されています。これによって、各人のココロの状態を可視化し、今後のサービスや商品開発に活かすことが可能になるでしょう。さらに、「ふぅ」があふれる社会の実現に向けて、企業や大学が共に力を合わせていく決意が見受けられます。
各組織の役割
この研究には、それぞれ独自の役割を持った組織が参加しています。ミルウスは感情推定モデルのAI化と実装を担い、横浜国立大学は生体データから感情推定モデルを構築しています。一方、味の素AGFは試験デザインの構築とデータ取得方法の検討に力を注いでいます。このように、各組織がそれぞれの専門性を生かして連携し、相乗効果を生む形でプロジェクトが進行しています。
まとめ
味の素AGF、ミルウス、横浜国立大学が協力し、心の健康に近づく新技術の開発が進展中です。リアルタイムな感情の可視化が実現すれば、私たちの生活の質を向上させる新たな様々なサービスに期待が寄せられます。研究が進む中で、私たち自身のココロを理解する手助けとなり、より良い未来につながっていくことが期待されています。