バーバパパと陶芸が織り成す特別な一日
2023年8月10日、石川県金沢市の国立工芸館で開催された「想いをぎゅっとやきものワークショップ」が、多くの子どもたちにとって忘れられない体験となりました。本企画は、フランスの人気キャラクター「バーバパパ」と、日本の伝統工芸品であるやきものとの特別なコラボレーションによって実現しました。さらに、バーバパパの誕生から55年、国立工芸館の移転から5年という節目の年でもあり、特別な意味を持つイベントとなりました。
バーバパパの魅力
1970年に誕生したバーバパパは、クレイジーでユーモラスなデザインで世界中の人々に愛されてきました。私たちの日常生活において、きっと身近にいてくれる存在。彼自身が形を変えて人々を楽しませ、愛することを学ぶことができるというメッセージを持っています。このようなバーバパパのスピリットと、土を使った陶芸が融合することは、参加者に新たな発見をもたらしました。
ワークショップの内容
このワークショップには、32名の小学生が参加しました。講師には、日本藝術院会員として活躍中の陶芸家、十一代大樋長左衛門氏を迎えました。子どもたちは、まずは心を整え、大切な人を思い浮かべる静かなひとときを過ごしました。この時間は、ただ土と向き合うのではなく、作品に込める「想い」を育むための大切な準備でした。
作品の制作は、まず1キロの土を半分に分けて、前半は茶碗作り、後半は自由制作という流れで行われました。茶碗作りでは、多くの子どもが成形の難しさに苦戦しましたが、その中でも自分なりの形を求めて涙ぐましい努力を重ねました。一人ひとりが違う個性を持ちながらも、どれも温かみを感じられる作品が出来上がりました。
自由制作の楽しさ
後半では、茶碗に加え、動物やキャラクターの置物を制作する子どもたちも現れました。発想は実に多彩で、土と向き合う時間は自然と笑顔を引き出します。参加者たちは「形にする」喜びと同時に「思いは廻る」ことの大切さを体験することができたのです。この特別な土の質感も新鮮で、子どもたちの創造力をさらに刺激しました。
持続する文化の継承
国立工芸館は1977年に東京で創設され、2020年に金沢に移転しました。それ以来、工芸とデザインの美術館として、日本国内外の多様な作品を収集し、発信し続けています。今回のワークショップは、こうした文化的背景があってこそ実現できた行事であると言えます。
大樋長左衛門氏の紹介
大樋長左衛門氏は、江戸時代より続く茶陶の伝統を受け継ぐ陶芸家として知られています。彼の芸術家としての活動は国内外に広がり、デザイン領域にも手を広げています。彼の存在自体が、このワークショップの価値を一層引き上げるものでした。
最後に
この一日は、子どもたちが「作る楽しさ」と「誰かを思う優しさ」を同時に感じられる貴重な時間となりました。バーバパパと触れ合いながら、彼らが作り上げた作品は、素晴らしい思い出だけでなく、未来への一歩を踏み出す素敵なきっかけにもなるでしょう。きっと、この体験は彼らの心に長く残り続けることでしょう。