微生物燃料電池試験
2024-12-19 13:34:39

クリタが実施した微生物燃料電池の実用化試験、排水から電力を生み出す

クリタが進める微生物燃料電池の実用化推進



栗田工業株式会社(以下「クリタ」)は、排水処理装置に統合可能な微生物燃料電池の開発を進めており、2023年11月には実排水を対象にした実規模サイズのセルによる発電実証試験を実施しました。この試験では、排水中の有機物を分解し発生した電力を用いて、電気機器の連続稼働を確認しました。

微生物燃料電池の仕組みとは?



微生物燃料電池は、特定の微生物(いわゆる「発電菌」)が排水中の有機物を分解する際に放出する電子を利用して電気を生み出す技術です。これにより、従来の汚泥処理が行われていた有機物を直接電力に変換することが可能です。この技術は、環境への配慮が高まる中、世界中で研究及び実用化が進められています。

実証試験の内容と結果



本実証試験は長崎県西海市のキャンプ場で行われ、ニシム電子工業株式会社の協力を得て、浄化したし尿を循環利用可能な自己処理型水洗トイレ「TOWAILET」に組み合わせる形で実施されました。試験では、処理されたトイレ排水を微生物燃料電池に供給し、その出力を利用してデジタル時計やLEDイルミネーションなどの電気機器を動かしました。

試験の結果、排水中の有機物を除去することによって、0.6~0.8 Wh/g-CODCrの電気エネルギーが得られ、予定通りの電気機器を連続稼働させることに成功しました。また、発電セルの改良により、セル容積あたりの発電量は最大550 W/m3に達し、過去の試験結果の2倍以上の向上が見られました。

今後の展望



今回の実証試験で確認された成果は、災害時や工場での排水処理への利用のほか、一般家庭や商業施設などでのエネルギー供給の新たな可能性を開くものです。クリタは、今後も長期にわたる実証試験を通じて、微生物燃料電池技術の実用化を進めていく方針です。

また、環境負荷の低減や持続可能な社会を目指す取り組みとして、顧客や社会に新たな価値を提供することがクリタの使命となっています。水処理技術の長年の経験を生かし、イノベーションを追求していくとのことです。

まとめ



クリタの微生物燃料電池による実証試験は、環境に優しいエネルギーハーベスティングの新たな一歩を示しています。排水から電力を生み出すことができるこの技術は、今後の社会で重要な役割を果たすことでしょう。持続可能な未来を構築するための挑戦が、ますます期待されます。


画像1

画像2

関連リンク

サードペディア百科事典: 栗田工業 微生物燃料電池 エナジーハーベスティング

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。