セキュアソフトウェア開発フレームワーク(SSDF)日本語版が公開
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)が、米国国立標準技術研究所(NIST)が策定した「NIST Special Publication 800-218: Secure Software Development Framework(SSDF)Version 1.1」の日本語訳を発表しました。これにより、日本国内における安全なソフトウェア開発の取り組みが一層推進されることが期待されています。
SSDFとは?
SSDFは、安全なソフトウェアを開発するために必要な実践項目を体系的にまとめたフレームワークです。開発の各段階で直面するセキュリティリスクを考慮し、効率的かつ効果的に対策を講じられるよう設計されています。特に、次のようなステークホルダーに向けて具体的なガイダンスを提供しています。
- - ソフトウェア開発者: セキュリティを意識したコードの記述方法や、脆弱性の早期発見と修正に向けた指針が示されています。
- - ソフトウェア採用者(購入者): 調達プロセスにおけるセキュリティ要件の明確化や、サプライヤーとのコミュニケーションの向上に利用できます。
- - プロダクトマネージャー: プロジェクト全体のセキュリティリスクを管理し、適切な対策を講じるためのフレームワークを提供。
- - セキュリティ担当者: 組織のセキュリティ基準を策定し、開発チームへの指導や監査を行う際の参考資料となります。
- - 経営層: 組織全体のセキュリティ意識を高め、リスク管理を強化するための戦略的な指針を得られます。
国際的なセキュリティの枠組みとしての役割
このフレームワークは、特に2022年以降、日米豪印の4か国でサイバーセキュリティ分野での協力強化が合意されたことからも、その重要性が増しています。ソフトウェア供給網の安全性確保は、現代の政策課題として再認識されています。
SAJによる翻訳作業は、SAJの有志メンバーによって進められ、原文の構成や用語を尊重しながら正確性を重視したものとなっています。次の取り組みによって、国内のセキュア開発の普及と国際的なセキュリティ基準への理解がより深まることが期待されます。
SSDF日本語版のダウンロード
翻訳版は、SAJの公式サイトから無料でダウンロード可能です。
こちらからダウンロード
今後の展望
SAJは引き続き、日本国内でのソフトウェアの安全性向上に向けた取り組みを強化していくとともに、市場や業界に広くSSDFが活用されることを目指しています。
プロジェクトメンバー
以下のメンバーが本翻訳に関与しています。
- - 明尾 洋一(サイボウズ株式会社)
- - 垣内 由梨香(マイクロソフト株式会社)
- - 鈴木 康弘(株式会社アシュアード)
- - 田上 利博(サイバートラスト株式会社)
- - 富田 佑実(サイバートラスト株式会社)
- - 萩原 健太(GOFU株式会社)
- - 本田 祥子(トレンドマイクロ株式会社)
また、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターの伊藤智貴氏がレビューを担当しました。
一般社団法人ソフトウェア協会は、「Software Everywhere – すべてはソフトウェアで動く、これからのデジタル社会へ」というビジョンを掲げ、すべての組織と人々をサポートすることを目指しています。