再生プラスチックの未来
2025-11-06 12:20:51

再生プラスチック活用を促進するAI技術の実証が始動

再生プラスチックの未来を拓く日立とトーエイの取り組み



日立製作所とトーエイ株式会社は、持続可能な社会を目指して再生プラスチックの活用を促進する新しいプロジェクトを始めました。この取り組みでは、AI技術を駆使した「再生材マーケットプレイス」を通じて、再生プラスチックの配合支援を行う実証実験が2023年11月からスタートします。

背景にある社会的課題



近年、気候変動や生物多様性の損失、海洋プラスチックごみによる環境汚染が深刻な課題として取り上げられるようになり、社会全体での対応が求められています。その中で、サーキュラーエコノミーの考え方が注目されています。特に、日本では、2022年に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によって、プラスチックの資源循環が進められ、再生材のニーズが高まっています。

しかし、実際のところ、再生プラスチックはバージン材に比べて機械特性や熱物性が劣るため、製品への導入は難しく、その活用は限られています。また、再生プラスチックの開発には従来の知識と経験に基づく試行錯誤が必要で、内部に開発エンジニアを持たない企業も多いのが現状です。このような背景から、データを基とした開発が急務とされています。

本実証実験の概要



今回、日立は「再生材マーケットプレイス」にて、ユーザーのニーズに応じた再生材の品質分析や、最適な配合比率を提案する機能を開発しました。トーエイは、20年以上にわたるリサイクル業の経験を背景に、実証実験に参加し、共に再生プラスチックの活用拡大を目指しています。

この実証実験では、1. 品質のばらつきを数値化し、2. AI技術を用いて最適な配合レシピを提案することで、再生プラスチックの材料開発の効率化と、属人化の解消を図ります。

実証内容


具体的な実施内容としては、トーエイが回収したPP(ポリプロピレン)材料を用いて、初めにその品質を数値化し、次に提案された配合レシピが有効かどうかを検証します。

また、日立が開発した独自のAIモデルは、材料特性や配合条件に関するデータベースを活用して、ユーザーが求める材料特性を達成するための最適な配合を見つけ出します。これにより、リサイクラーやメーカーが必要とする材料性能に応じた提案が可能になります。

今後の展開



日立は、2026年度に向けて「再生材マーケットプレイス」のサービス提供を開始予定です。このプロジェクトを通じて得られたデータを活用し、多くの企業や社会における課題解決を図っていく考えです。また、2025年には幕張メッセで開催予定の「高機能素材Week」において、この実証で得られた成果を発信するパネルを出展する予定です。

結論



このプロジェクトは、持続可能な社会づくりに向けた重要な一歩といえるでしょう。日立とトーエイの技術と知見を結集し、再生プラスチックの活用を進めることで、循環型社会の実現を一層推進すると期待されています。環境問題の解決に向けた新しい風が吹き始めています。


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