2025年中期版SPIVA日本スコアカードで見る日本の株式運用の現状
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は、新たに発表された「SPIVA日本スコアカード 2025年中期版」において、日本のアクティブ運用大型株ファンドがその63%でベンチマークを上回ったことを報告しています。このスコアカードは、アクティブ運用のファンドと各ベンチマークのパフォーマンスを様々な期間で評価しています。本稿では、このスコアカードの内容と、日本の株式市場が現在直面している課題について詳しくお伝えします。
日本の株式市場の動向
2025年上半期において、日本の株式市場は全般的に堅調でしたが、同時に米国の関税問題や急激な円高が影響を与え、経済の不透明感が増したことも事実です。これにより、株価が下落する局面も見られました。アジア太平洋地域を担当するS&P DJIのSue Lee氏は、「日本の株式市場はここ2年間安定していたものの、2025年上半期にはマイナス圧力がかかる場面があった」と述べています。
アクティブ運用大型株ファンドの成績
2025年の上半期に日本のアクティブ運用大型株ファンドは、S&P/TOPIX 150 インデックスに対して均等加重ベースで4.0%、資産加重ベースで2.8%の上昇を記録しました。非常にポジティブな結果であり、これはベンチマークをアンダーパフォームしたファンドが27%に留まったことを意味します。ただし、長期的な視点で見ると、10年や15年の期間では依然として多くのファンドがベンチマークに届かず、アンダーパフォームが80%を超えています。
中小型株ファンドの堅調なパフォーマンス
一方、日本のアクティブ運用中小型株ファンドについては、2025年の上半期において63%のファンドがベンチマークをアンダーパフォームしました。しかしこのカテゴリーは、長期にわたると比較的良好なパフォーマンスを示しており、10年及び15年の期間ではそれぞれ54%、66%のファンドがベンチマークを上回っています。
グローバル株式ファンドと米国株式ファンドの課題
2025年上半期には、グローバル株式ファンドの74%がベンチマークをアンダーパフォームしました。特に3年またはそれ以上の期間を考慮すると、90%以上のファンドがベンチマークに達していません。加えて、アクティブ運用の米国株式ファンドに目を向けると、S&P 500は日本円ベースで2.4%の下落を記録し、その83%のファンドがさらに大きな損失を被る結果となりました。資産加重ベースで見ると平均5.8%のマイナスリターンとなっています。
国際株式ファンドと新興国株式ファンドのパフォーマンス
国際株式ファンドでは、2025年上半期に78%がS&Pワールド(日本を除く)インデックスに対してアンダーパフォームしています。長期的には、15年の期間で100%のファンドがベンチマークを下回る結果が観察されており、極めて厳しいパフォーマンスとなっています。
逆に新興国株式ファンドは2025年上半期に特に好調で、アンダーパフォームしたファンドは28%に留まりましたが、10年の期間では全ファンドがベンチマークをアンダーパフォームしているため、今回の成果は例外的です。
ファンドの生存率
興味深い点としては、ファンドの清算や合併は全体として低水準に留まっており、2025年上半期にはわずか0.8%のアクティブ運用ファンドが清算または合併されました。対して、15年の期間で見た場合、53%のファンドが存続できないという厳しい現実が横たわっています。
結論
SPIVA日本スコアカードは、日本のアクティブ運用ファンドのパフォーマンスを総合的に評価しており、短期的な成功と長期的な課題を明確に浮き彫りにしています。各ファンドのカテゴリーによるパフォーマンスをしっかりと把握しつつ、今後の投資戦略に活かすことが求められています。詳細なデータと分析については、公式レポートを参照してください。