羽田空港で始まる国産SAF供給
日本の航空業界において、持続可能な未来への一歩が羽田空港で踏み出されました。国産のSAF(持続可能な航空燃料)が初めて定期便に供給されることとなり、日揮ホールディングス(以下、日揮HD)と東京都、それに全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)が連携して進める「Fry to Fly Project」において、廃食用油を原料としたSAFの実用化が実現しました。
Fry to Fly Projectの背景
Fry to Fly Projectは、家庭や商業施設から回収した廃食用油を原料に、SAFを生産し、持続可能な航空産業の実現を目指すプロジェクトです。このプロジェクトの一環として、日揮HDは東京都と協力し、廃食用油の回収を促進する取り組みを進めてきました。その結果、2023年に羽田空港で正式に定期便へ供給が開始されました。
プロジェクトの具体的な活動
2024年3月からは「東京 油で空飛ぶ 大作戦 Tokyo Fry to Fly Project」がスタートし、都民の意識を変えるための各種キャンペーンが実施されます。このキャンペーンでは、家庭から回収された油を「家庭の油 回収キャンペーン」として展開し、都内各所に回収ボックスを設置、選手をPR大使に起用するなど、活動は多岐にわたります。また、国産SAFの利用を促進するため、東京都は補助金制度も設けています。
SAFFAIRE SKY ENERGYの役割
供給されるSAFは、日本で初めてISCC CORSIA認証を取得した合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYの製品です。この会社は、大阪府堺市に位置する唯一のSAF製造設備でこれを量産しており、なおかつ環境持続可能性の証明も受けています。2024年からは日本国内におけるSAFの大規模製造が見込まれ、この動きが国際的な脱炭素化の進展にも寄与することでしょう。
航空業界の脱炭素化に向けた取り組み
国際民間航空機関(ICAO)は、2050年までに航空機のCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。この流れに合わせて、Fry to Fly Projectは企業と自治体が連携して進めるもので、廃食用油の収集を通じてSAFの普及を加速させています。
未来の航空燃料
SAFは通常の航空燃料と同じ給油設備を使用でき、製造過程でのCO2削減効果も高く評価されています。廃食用油、バイオマス燃料などを原料とするこの燃料は、持続可能な航空の実現に必須の鍵といえます。フライ・トゥー・フライ・プロジェクトは、これからますます重要になっていくことでしょう。
羽田空港での国産SAF供給開始は、持続可能な未来を見据えた航空業界における新たな活動の始まりです。皆が参加できる廃食用油回収キャンペーンなどを通じて、1人1人の意識が変わることで、今後の取り組みが加速することを期待しています。