NECとメタップス、クラウドコスト管理での業務提携の意義
2023年、NEC(日本電気株式会社)とメタップスホールディングスが業務提携を発表し、自治体向けにクラウドコスト管理および最適化の新サービスを提供することになりました。この提携は、全国の自治体における基幹業務システムの運用をサポートするガバメントクラウド上での新たな試みです。特に注目すべきは、メタップスが開発したAWSコスト管理ツール「srest(スレスト)」の導入です。このツールは、自治体が抱えるクラウドコストの管理の課題を解決するために設計されています。
背景:自治体業務のクラウド化とその課題
日本では、2026年までに自治体基幹業務システムの統一化と標準化が求められており、多くの自治体が新たなクラウド環境に移行しています。しかし、移行後の問題として、クラウド利用料の高騰やコスト管理が難しくなるといった課題が浮上しています。特に、ガバメントクラウドの共同利用方式では、自治体が直接コストを確認できず、運用管理を委託している業者に問い合わせる必要があります。このため、請求書の正確な内訳が不明瞭になり、運用に様々な影響を及ぼしています。
提携の目的と期待される効果
NECとメタップスは、このような課題を解決するために提携しました。具体的には、NECが提供するガバメントクラウド運用管理補助サービスに「srest」を標準サービスとして組み込むことで、自治体のコスト管理の効率化を目指します。「srest」は、AWSの複雑な請求データを自動的に分析・可視化し、日々の利用料の内訳をリアルタイムで確認できる機能を備えています。この機能により、自治体職員の請求・支払事務の負担が軽減され、業務の効率化が進むと期待されています。さらに、コストに関する透明性を高めることで、自治体側の予算の有効活用が図られるでしょう。
継続的なコスト最適化の推進
「srest」は、異常がある利用状況やコストの変動を検知する機能を持っており、自治体はこれを活用して継続的なコスト最適化を行うことができます。これは、費用を事前に設定し、超過した場合にアラートを受け取る機能も含まれており、予算管理がより容易になります。
NECのビジョンとサポート体制
NECは、この提携を通じて自治体業務の最適化を引き続き推進します。ガバメントクラウドの利用状況を詳細に把握し、コスト構造を分析することで、自治体に対し適正なクラウド利用料の提案や、環境の最適化をサポートします。また、メタップスと共にさらなる機能拡張を目指し、自治体基幹業務システムの拡販に向けた取り組みも強化します。
今後の展望
両社の連携が強化されることにより、全国の自治体におけるDX推進が加速することが期待されます。「srest」はすでにAWS認定ソフトウェアとしても評価されており、今後の市場展開においても成長が見込まれています。この提携は、自治体の業務効率化やコスト削減の一翼を担う重要な一歩であり、地域経済の発展にも寄与することでしょう。
地域たちがこの新たなツールを取り入れ、効果を実感する日が待ち遠しいですね。