高カカオチョコレートが運動に与える影響
最近の研究によって、筋力トレーニングの前に高カカオチョコレートを摂取することで、運動後の動脈スティフネス(動脈の硬さ)を速やかに低下させることが示されました。この成果は、2025年9月6日付の国際学術誌『Journal of Exercise Science & Fitness』に掲載され、注目を集めています。
研究の背景
本研究は、株式会社明治と日本体育大学の岡本教授を中心とする研究グループによって行われました。高強度の筋力トレーニングは、サルコペニアなどの予防に有効とされていますが、特に高強度では動脈スティフネスが増加することが知られており、心臓や血管への負担が大きいのです。そこで、高カカオチョコレートが持つカカオポリフェノールの力を利用して、運動後の動脈スティフネスを抑える方法が模索されました。
研究方法
この研究には、平均23歳の健康な男性12人が参加し、ランダムに高カカオチョコレート50gまたはホワイトチョコレート50gを摂取しました。高カカオチョコレートには1,285mgのカカオポリフェノールが含まれており、ホワイトチョコレートにはこれがありません。各参加者は、摂取後にベンチプレスとアームカールの運動を行い、運動前、直後、運動後30分および60分にわたって動脈の硬さを測定しました。
研究結果
運動後の動脈スティフネスを計測するための指標「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」は、運動前に比べて有意に増加しました。しかし、高カカオチョコレートを摂取したグループは、運動後30分の時点でbaPWVが顕著に低下していました。一方、ホワイトチョコレートを摂取したグループでは、運動60分後でもbaPWVは高いままであり、回復が見られなかったのです。
考察
高カカオチョコレートは、カカオポリフェノールの豊富な含有によって、動脈スティフネスを抑える働きを持っていることが示されました。これは、特に末梢動脈において影響が見られ、中心動脈には有意な変化がなかったことからも確認できます。高強度の筋力トレーニングによる負担を軽減するために、高カカオチョコレート摂取という新たな選択肢が提案されることになりそうです。
今後の展望
今後の研究においては、高カカオチョコレートを通じた血管機能の改善効果をさらに検証し、運動時の健康維持に役立てていく必要があります。サルコペニア予防や高血圧対策を考える上でも、カカオポリフェノールの持つポテンシャルは注目され続けるでしょう。私たちが健康的な生活を送るために、こうした研究の進展に今後も目が離せません。