岡山大学と龍谷大学の共同研究チームが、短炭素繊維を活用した革新的な3D成形法「繊維エアロゾル堆積法(FAD)」を発表しました。この技術は、今までとは異なり、接着剤を用いることなく、単に繊維を吹き付けることで立体的な構造物を形成できます。この新手法の大きな特長は、最大0.3 mm/sという非常に高い垂直成長速度を実現している点です。
FAD法では、繊維同士の「摩擦による絡み合い」が主な成形メカニズムとして機能します。これは、従来の方法では考えられなかった新たな発見です。研究チームは、このプロセスを活用することで、リサイクル炭素繊維やさまざまな短繊維素材の効率的な活用が期待されると述べています。特に、水処理フィルターや次世代電極材料の創製など、幅広い応用が見込まれています。
池田直教授は、「偶然発見した現象から新技術を導き出しました。この技術により、短い繊維状の材料を使って今までにない物質を作り出す可能性がある」と語っています。この技術の適用範囲は非常に広く、今後の研究によってさらに多様な機能性素材が創出されることが期待されています。
研究成果は2025年12月にオランダの学術誌『Materials & Design』に掲載されており、その重要性が世界中に広がっています。また、この技術は特に短炭素繊維の利用を前提としており、長軸構造を持つ素材に適用可能なので、多様な材料の挑戦が待ち受けています。この研究の背景には、環境問題への配慮や持続可能な素材の開発といった時代のニーズがあります。
実際の成形テストでは、炭素基板における繊維の配置や構造が詳細に観察されています。走査型電子顕微鏡(SEM)やX線CTを用いた検査により、短い繊維が密度高く充填され、特異な階層構造を形成していることがわかりました。このプロセスでは、繊維が粉砕されず、摩擦力によって強固な結合が実現され、高い機械強度も併せ持っています。
岡山大学のこの新しい技術は、一時的な注目を超え、持続可能な未来の新しい材料開発に寄与すると考えられています。今後の研究結果や技術の展開に、私たちも目が離せません。